売れ筋CDj-pop屋

　チリ国内をくまなく旅し、各地に残る民謡を採譜するという作業を行っていたパラは、そうした儀式を目の当たりにし、社会の不公正を痛烈に感じ取った。
　彼女の作った、この”天使のリン”は、曲の大半が、淡々とした地方民謡の再現だ。
　幼い天使は天国に行き、花に囲まれながら、安らかな眠りにつく…。

　しかし最後に、この国の、ラテンアメリカの内包する社会矛盾を、強烈に批判するワンフレーズを歌い込む。
　”肉体が死ぬとき、魂は問いかける。どうしてこんなにも早く、命が絶たれてしまったのか。肉体が死ぬとき、魂は暗黒の闇に沈む…”。

　１９６７年、彼女は神経症から猟銃自殺した。愛に、家庭に、社会矛盾に無骨にぶつかりつづけ、消耗した挙げ句の４９年の人生。そんな嘘偽りのない彼女の生き様は、残された歌の数々に聞いて取れる。
　”人生よありがとう””１７歳に戻れたら””リンリンは北へ行った”など、このＣＤに収められた名曲は枚挙にいとまがない。