売れ筋CDj-pop屋

シンタックスとギターの絶妙なバランス感覚
変態＆テクニカル系ギタリストの大御所、アラン・ホールズワースの1989年の作品です。問題作「Sand」で大胆にシンタックスを導入したために、UKやブラフォードあたりのプレイを聴いてホールズワースのファンになった人間にとって、「これからはギターを弾いてくれないのでは？」とやや敬遠気味になりつつあった状況があったのは否めない事実です。そんな（？）熱いファンの声が聞こえたのかどうかは別にして、この「Secrets」ではやや原点回帰した感がします。メンバーはジミー・ジョンソン（ベース）とヴィニー・カリウタ（ドラム）を基本に、スティーヴ・ハント、チャド・ワッカーマン、アラン・パスクァなどの名前が見られますが、Clair Holdsworthという女性ボーカルは彼の奥さんなのでしょうか？ 1曲目の「City Nights」では、IOUの頃を思わせるような超絶ソロが聴かれ、昔から追いかけているファンもひと安心という感じです。曲も大変美しく、いわば名曲の予感が漂います。２曲目の「Secrets」ではホールズワースの作品としては初めて女性ボーカルを導入していますが、これも曲調とマッチしていて十分な納得感です。ここでは例のシンタックスを弾いていますが、「Sand」で感じられた違和感はさほど感じません。やっと使いこなせるようになったということで、ここでもまた安心です。結局、全８曲中、シンタックスを使用しているのはこの曲を含めて3曲で、本来のギターとのバランスとしては、これくらいが適度なのではと感じます。 このアルバムはなぜか地味な存在ですが、谷間に咲いた一輪の花という感じで、大変美しい作品だと思います。ファンならずとも、テクニカル系ギタリストが好きな人にとってはマストアイテム。
超絶技巧と柔軟な姿勢
　様々なバンド､セッション活動で多くの実績を揚げている、英国出身の凄腕ギタリストの、’８９年発表のソロ･アルバム。
　本作の特徴は、ズバリ“聴きやすさ”である。
　この人の超絶技巧を今さら取上げる必要はないだろう。ただ、その高度な演奏技術が聴き手を限らせていたのも事実だ。
　ところが、本作はその聴き手を限定しようとせず､より多くの聴き手にアピールしようとする試みが窺える。
　単純にはヴォーカル入りの曲がある。しかも曲によって男声､女声を使い分けている。
　一番の要因は､楽曲にはっきりとしたメロディ･ラインがあり、それを丁寧に描き出している点にある。そこでのプレイは実にエモーショナルで心地良い。
　その合間を縫って、ならではの超絶技巧が冴えを見せている。
　この２通りのプレイ･スタイルがお互いを生かしあい､作品全編に緩急とメリハリをつけ､抑揚を作っている。
　その柔軟な姿勢､スタイルこそが、本作のあらゆる魅力を引き出している。
ホーさん、超スランプ！
８曲のうち、４曲がホーさんの曲、あとの２曲はスティーヴ・ハント、１曲はゲイリー・ハズバンド、残りの１曲をチャド・ワッカーマンが書いてます。作曲という点ではどうもスランプだったみたいですね。

１曲目の”CITY NIGHTS”、この曲かなりかっこいいです。ギターでホーさん節、バシバシきめてます。後の曲も勿論弾きまくってるんですが、どちらかというと、ドラムのヴィニー・カリウタがあまりにも素晴らしいです。このアルバムはホーさんのというよりは、ホーさんのバンド全員のアルバムだと思います。

シンタックス導入３作目という事で、まだまだシンタックスの可能性をさぐりながらもかなりのところまでモノにしたかなという印象です。
プレイ自体は素晴らしいです。ただこじんまりとしてて、いまひとつ、つかみ所が無い様な気もします。

この時はスタインバーガーを使ってるんですが、やはり思う存分ギター・プレイを聴きたいですね。

ギターは５つ星以上です。
シンタックスは今ひとつです。
孤高のギタリストのソロアルバム
純粋に自分の音楽を深化させているシリアスなミュージシャンのひとり。コマーシャルな成功は一切興味がない。そんな音楽姿勢が心を打つ。レガートでひきまくる独特のフレージングは彼の専売特許。
嵐のように溢れ出るインプロビゼーションがかなりスリリング。
１０点中１０点。
卓越したセンスと驚異的なプレイヤビリティーの融合
このアルバムはアランが新たな武器＝シンタックスを採用した初の作品、随所に耳に飛び込んでくるバイオリンのような音がそれである。ここで彼は新たなチャレンジに挑んでいる。つまり、ギターでホーンライクな音をかき鳴らすこと。これはパットメセニ−も大胆に取り入れていることであるが、サックスやバイオリンやブラスの音色でチョ−キングが大胆にきめられるという技が可能だ、これは本当に不思議な音色であり、実にパワフルな音色を出すことが可能。アランのようなフリーインプロビゼイションが溢れる程に出てくる音楽家にとっては最高の武器になる。今回の作品はシンタックスを十分に使いこなしたアランの音宇宙が、彼の華麗なテクニックにより圧倒的で同時にイマジネイティブに迫ってくる。唯一無比な才能はこのアルバムでも健在だ。全体的には色彩感が豊かになったアランホールズワ−スが聞けます。